抜歯後に痛みが出るドライソケットとは?原因や治療法を解説
2024/11/20
こんにちは、都筑区(都筑ふれあいの丘駅)の歯医者、マサキ歯科クリニックです。
抜歯は歯の治療を行う上で必要となる処置の一つであり、広く行われている処置ではありますが、時には「ドライソケット」と呼ばれる合併症が発生することがあることをご存じでしょうか。
このドライソケットは、なかなか引かない、強い痛みが生じることが特徴です。
この記事では、ドライソケットの原因や症状、治療法や予防法について解説します。
ドライソケットとは
ドライソケットとは、歯を失った箇所に血餅(血の塊)が形成されず、骨が露出してしまっている状態です。
通常であれば、歯を抜いた場所には血餅ができて、その傷口を保護し、治癒を促進します。しかし、何らかの原因でその血餅が喪失したり形成不良を起こしたりすると、露出した骨がさらされている状態になり、非常に強い痛みや不快感を招くことになります。
抜歯後の合併症の一つであり、特に下顎の親知らずの抜歯後に症状を訴える患者さんが多くいます。
ドライソケットの症状
ドライソケットの症状で特に顕著なのが、抜歯後の数日以内に発生する強い痛みです。
通常の抜歯後痛とは異なり、徐々に痛みが強くなっていくという特徴があります。痛みの種類としては、ズキズキとした響くような痛みであることがほとんどです。
また、口臭がきつくなることもあります。
このような臭いの原因は、露出した骨や感染症を引き起こす可能性のある細菌の繁殖によるものです。
そのほか、周囲の歯ぐきや顔面に腫れや炎症が見られる場合もあります。
ドライソケットの原因
抜歯後の激しいうがい
抜歯後に患部を清潔に保つことを意識するあまり、うがいの回数が増えたり、強くうがいをしてしまったりする場合があります。
これは患部にできた血餅を取り除いてしまったり、形成を妨げてしまったりする原因になります。
抜歯箇所を指や舌、歯ブラシで触る
抜歯箇所に指や舌で触れたり、歯ブラシで必要以上に触ってしまったりすることも、血餅を除去してしまう原因になります。
それまで歯があった箇所が空白になることで気になって触ってしまったり、無意識のうちに舌で触れてしまっていたりすることが多いですが、ドライソケットの原因になるため、触れてしまわないように意識的に気を付ける必要があります。
喫煙
喫煙も、ドライソケットの原因になります。
これは、たばこに含まれるニコチンが血管を収縮させ、血流を抑制することで、血餅が形成されにくくなってしまうためです。
また、喫煙による唾液分泌量の減少により、患部が細菌感染するリスクも高くなります。
激しい運動や入浴による血流の促進
激しい運動や長風呂などによる体温の上昇や血流の変化もまた、ドライソケットの発生リスクを高める場合があります。
これは、身体を温める、活発に動かすといった行為で、血流が促進され血餅が形成されにくくなってしまうためです。
ドライソケットの治療法
鎮痛剤・抗生剤の処方
ドライソケットの対処法として、まずは強い痛みを緩和するために鎮痛剤が処方されるのが一般的です。
それとともに、さらされた部位を細菌感染から守るために抗生物質の処方も行われます。
傷口の清掃と軟膏の使用
抜歯後の開いた傷口には、食べ物のかすや汚れが溜まりやすくなります。
そのため、生理食塩水で患部を清掃し、痛みと炎症、感染リスクの軽減を図ります。その後は、傷口に薬剤を浸したガーゼや抗菌軟膏を詰めて保護し、経過を観察します。
再掻把の施術
痛みが強い場合や薬剤による治療では改善が見込めない場合などに、再掻把と呼ばれる処置が行われます。
これは、意図的に出血を促し、再度血餅を形成する方法です。麻酔をした状態で処置が行われ、処置後には縫合をすることで血餅が取れないようにします。
ドライソケットの予防法
強いうがいを控える
抜歯後は傷口がまだ不安定な状態です。
口内の違和感や気持ち悪さから、何度もうがいをしたくなったり強くうがいしたくなったりするかもしれませんが、強いうがいは形成された血餅を流し去ってしまう可能性があります。
血餅が失われると、傷口が適切に保護されず、ドライソケットを引き起こすリスクが高まりますので、優しく口をゆすぐ程度にとどめましょう。
患部を舌や歯ブラシで触らないようにする
抜歯した後は、つい患部が気になって舌で触れたり、歯ブラシでその周辺を刺激したりしがちですが、こういった行動も避けましょう。
舌や歯ブラシが患部に触れると、血餅を除去してしまいかねません。無意識のうちに繰り返してしまうことがあるため、意識して触らないように心がけましょう。
抜歯当日の激しい運動や入浴を控える
身体を動かすことで血流が活発になり、血餅の形成が妨げられることがあります。
運動や入浴による身体の過度な負担は、ドライソケットのリスクを増加させる可能性がありますので、抜歯当日は激しい運動や長時間の入浴を控え、安静にしておきましょう。
口内を清潔に保つ
傷口からの細菌感染を防ぐために、口内を清潔に保つことも大切です。
「強くうがいはしない」「歯ブラシで患部を刺激しない」といったことに気を付けながらも、口内を清潔に保つように心がけましょう。
喫煙を控える
喫煙は、血流を悪化させ、傷口の治癒を遅らせる大きな要因です。
喫煙をしている方は、少なくとも抜歯後の数日間は禁煙する、または可能な限り本数を減らすことを目指しましょう。
ドライソケットを放置することのリスク
ドライソケットを放置し骨が露出している状態は、急性歯槽骨炎を引き起こす可能性を高めてしまいます。
これは強い痛みを伴い、重症化すると骨の壊死を招くこともあるものです。
場合によっては、外科手術が必要になることもあります。
また、感染が皮膚や皮下組織に広がり、蜂窩織炎を引き起こすリスクもあり、発熱や全身の倦怠感といった全身症状につながる可能性もあります。
さらに、ドライソケットをそのままにしておくと、歯ぐきの形状に影響を及ぼすこともあります。
通常であれば歯ぐきは抜歯した部分を覆って整った状態に戻りますが、炎症が続くと凹みや段差が残ることがあるためです。
まとめ
ドライソケットは、抜歯後に発生する可能性のある合併症で、強い痛みを引き起こします。
「患部に触れない」「清潔な状態を保つ」といったことに気を付けることで、早期の改善を促しましょう。
また、痛みが続く場合には放置せずに歯科医院を受診しましょう。
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